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第2回 品質とは何か-顧客,商品・サービス,組織の関係

2026.07.09会長ブログ

前回の概要:前回は,本「品質編」シリーズの目的と全体像を確認しました.品質管理を学ぶ入口として,まず“品質”そのものを考えることが大切である,という話をしました.

 まず本日,お話をしたいのは“品質”についてです.日常生活や企業活動の様々な場面で“品質”という言葉が使われていますが,ひとによってその使い方や捉え方が大きく異なるように見えます.品質管理の“品質”が何を意味するのかを改めて考えてみたいと思います.

 あらゆる企業・組織は,その活動のアウトプットである商品・サービスを顧客に提供し,その対価として顧客からお金をいただきます.そして,その売り上げから商品・サービスの提供にかかったコストを差し引いた利益を,次につながる商品・サービスの提供のために投資する,という一連の活動を行っています.経営の基本的な活動と言ってよいでしょう.

 病院の場合,売り上げという言葉だけではやや違和感があるかもしれません.診療報酬,患者負担,補助金,委託費など制度上の仕組みは一般企業と異なりますが,組織として医療サービスを提供し,そのために人,設備,薬剤,情報,時間などの経営資源を投入し,次の医療提供につなげていくという点では,基本的な構造は同じです.

 この一連の経営の基本活動の中で注目すべきキーワードは,「企業・組織」,「顧客」,そして企業・組織と顧客の間で取引される「商品・サービス」の3つです.このうち,「企業・組織」は自社(自病院)のことであり自明なことなので,品質の話をする際には残りの「顧客」と「商品・サービス」の2つを明確に認識する必要があります.

 ISO9001や品質管理関連セミナー等で,まず顧客が誰か,提供している商品・サービスは何かを明確にしなさいとよく言われるのは,実はこのためです.一言で簡単に言えば,誰に何を提供するのかを明らかにすることが重要だと言っているのですが,これが案外難しいものです.

 乗用車の顧客は誰でしょうか.購入者でしょうか,運転手でしょうか,それとも乗っている人でしょうか.ギフト商品の顧客は,送る側でしょうか,送られる側でしょうか.大学という教育機関の顧客について考えてみても,そう簡単に自明な回答ができるわけではありません.

 病院でも同じです.患者が顧客であることは間違いありませんが,入院患者の家族,退院後に患者を受け入れる介護施設,紹介元の診療所,地域住民,行政,保険者など,病院の活動によって影響を受ける人や組織は少なくありません.その意味で,病院の顧客も多様です.

 商品・サービスに関しては,スマートフォンや電化製品等は目に見えるモノであるため比較的理解しやすいですが,目に見えにくい無形サービスになると何を提供しているのかを問われたとき,その回答は少し難しくなります.レストランや旅館は食事と宿泊場所だけを提供しているとは思えません.また,私は情報通信学部に所属しており,多くの学生がIT企業に就職しますが,彼らの就職先では顧客企業向けに予約受付システム,在庫管理システムなどのITシステムを開発・提供しており,商品・サービスはITシステムとなります.

 病院が提供しているものも,目に見えないサービスの1種であり,診察,検査,手術,投薬,看護,リハビリテーションといった医療的な行為に加えて,受付時の接遇,治療中における痛みや不安の軽減,納得できる説明,安全に療養できる環境なども,商品・サービスに含まれることになるでしょう.

次回予告:次回は,品質に関する代表的な定義を確認し,品質の本質がどこにあるのか,どのように決まるのかを考えていきます.

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