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第6回 社会的品質と利害関係者

2026.08.06会長ブログ

前回の概要:前回は,顧客ニーズは一様ではなく,同じ商品・サービスでも顧客や場面によって品質評価が変わる,という話をしました.

 商品・サービスの直接の購入者,使用者など以外に,第三者を顧客と考えることもできます.すなわち,企業が作り出した商品・サービスが使われ,廃棄される際に影響を受ける人々も,顧客の一部と考えて商品・サービスの企画・設計を行わなければならない場合があります.

 皆さんもお聞きになったことがあるかもしれませんが,「社会的品質」という概念のことです.この考え方は,公害問題が発生した1970年代に広く世間に広がりました.

 例えば,自動車を使用することによって出る排気ガスについては,大気を汚染させ,地球環境問題を悪化させる原因と指摘されています.購入者の中には,排ガスを気にせず,安くて走行性能が高ければよいと考える方もいるかもしれませんが,現代の社会ではそれは許されず,自動車製造会社は少なくとも排ガス規制に適合した車を提供する義務があります.

 病院の場合も,直接の患者だけを見ていればよいわけではありません.感染対策が不十分であれば院内だけでなく地域にも影響が及びますし,医療廃棄物の管理,個人情報の保護,災害時の医療提供体制,救急受入れのあり方などは,社会的品質として捉えることができます.

 近年は,顧客だけでなく,従業員,パートナー,株主・投資家,社会など,様々な利害関係者の期待やニーズを考慮することが求められています.ESG(環境,社会,ガバナンス)やSDGsの議論も,こうした流れと無関係ではありません.

 医療機関であれば,患者・家族だけでなく,職員の働きやすさ,地域包括ケアにおける役割,連携先との信頼関係,医療資源の適切な利用,地域住民への説明責任なども,病院の品質を構成する要素になり得ます.

 もちろん,直接の顧客である購入者や使用者のニーズを軽視してよいわけではありません.しかし,商品・サービスを企画,設計,提供する際には,多様な顧客の異なるニーズに常に留意する必要があります.

 つまり,顧客は誰かと一見して分かったつもりでも,そうではないこともあります.顧客の多様性を踏まえて,改めて顧客が誰かを考えて明確にした方がよいということです.

次回予告:次回は,顧客に“何を”提供しているのかを考えます.商品・サービスそのものを超えた価値に目を向けていきます.

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