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第7回 顧客に“何を”提供しているのか

2026.08.13会長ブログ

前回の概要:前回は,直接の顧客だけでなく,社会や利害関係者まで含めて品質を考える「社会的品質」について説明しました.

 顧客は誰かの話を既にしたので,次は“顧客に何を提供しているのか”についてです.皆さんは,顧客に何を提供しているのでしょうか.当然,自社の商品・サービスを顧客に提供していると多くの方は回答しますが,果たして本当にそうでしょうか.

 例えば,スターバックスは顧客に何を提供しているのでしょうか.コーヒーを提供している,と答えそうですが,少なくともスターバックスの方はそう思っていません.彼らにとってお客さんに提供しているのは,“ひとりでホッとできる空間”です.

 本当にコーヒーが欲しいのであれば,コンビニエンスストアのコーヒーを買えばよいわけです.わざわざより高い価格のコーヒーを買いに行くのは,コーヒーそのものではなく,それを通じて提供された“ひとりでホッとできる空間”を欲しているからなのです.

 ハウスメーカーの例も同じです.お客様には“戸建”という目に見える物的な商品を提供しているわけですが,商品の品質の良し悪しを議論しているうちに,“お客様がどんな生活や人生を送りたいのか”が一番大切であるという結論に至ります.

 一戸建てはお客様にとって一生に1度あるかないかの大きな買い物です.その人の価値観・人生観に寄り添って,それを実現するサポートをきちんとできる家が良い戸建である,という考え方です.

 病院であれば,提供しているものは診察,検査,手術,投薬,看護,リハビリテーションだけでしょうか.もちろんそれらは中核ですが,患者や家族が受け取っている価値はそれだけではありません.「不安を少なくしてもらえた」「自分の病状を理解できた」「退院後の生活を見通せた」「安心して任せられた」という経験も,病院が提供している価値の一部です.

 たとえば,退院支援は単に退院日を決める業務ではありません.患者が自宅や施設で生活を再開できるように,医療,介護,家族,地域資源をつなぎ,生活の継続を支えるサービスです.ここまで考えると,病院が提供しているものは医療行為そのものを超えた価値であることが見えてきます.

 これらの例から言えることは,“顧客に何を提供しているか”に答えることは“顧客は誰か”と同様に容易ではないという点です.商品・サービスを超えた先に何があるのか,それを再度考えてみることが大切だと思います.

次回予告:次回は,品質の“品”という言葉の意味を考えながら,顧客価値という視点を取り上げます.

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